「はじめに」
国家試験にも合格して歯科医師として旅立つ前に、研修医として1年間学ぶ義務があります。
この研修医としての1年間の過ごし方が、その後の実際の歯科医師としてのスタートダッシュを可能にします。
学生と社会人では求められるものが全く違います。
学生時代はお金を払って勉強しますが、社会人はお金をいただいて周りに貢献していきます。
この簡単そうで大きな違いを、研修医時代に少しずつ軌道修正していければ、就職してからの働き方が大きく変わってきます。
目 次
1、基本を確実にこなす
学生時代の試験では、重箱の隅をつつくような問題が出ます。周りの学生よりもたくさん知っていること、より細かいことを知っていることが評価の対象になりますが、社会に出て大切なことは、誰もが知っている、できていることをより確実にこなしていくことです。
研修医時代にインプラントや矯正の勉強をするよりも、CRやインレーなど誰もができる確実なことをよりこだわって反復することです。
誰もができる当たり前の事を、より確実により丁寧に繰り返していくことが大切なのです。スポーツにしても楽器演奏にしても、基本ができての応用になってきます。
2、疑問な点はすぐに調べる癖をつける
学生時代は与えられたことをこなしていくことでよかったと思いますが、社会人で求められるのは、自分から積極的に興味あることに向き合うことです。
社会人には、試験はありません。その代わり、患者さまやスタッフから常に比べられています。
患者さんからは、他の医院や他のDrと比較されて、上手、下手と烙印を押されます。同じ治療費を支払う以上は、「少しでも信頼できる上手なDrに治療してほしい」と思うのが自然でしょう。
社会人は試験がない分、日々、昨日までの自分よりも今日の自分は成長していかなければなりません。そのためには、日々、疑問な点や興味を持った点については、自分で調べ納得していかなければなりません。
試験範囲はないですが、明日患者さまから何を聞かれて望まれるかはわからないのです。試験範囲がないと思うのか、全ての範囲が試験されていると思うのかの違いです。
社会人として患者さんや周りから認められるためには、常に「昨日の自分よりも今日の自分」が成長していなければなりません。
3、自分目線から相手目線で物事を考えるようにしていく
学生時代には自分のことだけ考えても大した問題にはなりません。試験で落第しても自分が追試を受ければいいだけで、誰にも迷惑をかけるわけではありません。
しかし、社会人になって自分のミスで患者様や仲間に迷惑をかけることになります。
学生時代には、自分の失敗は自分で嫌な思いをするだけで済んだものが、社会に出てからは自分の失敗で周りの人達に嫌な思いをさせることになります。
20数年間、自分の視点からしか物事を見てこなかった人が、社会人になったからといって、急に物事を相手の視点から見れるようになれるわけではありません。
今まで生徒として自分のために勉強していた人が、先生になったからといって1年目から生徒の視点に立って授業を行えることは難しいのと同じ感覚かもしれません。
例えば、笑顔は誰のためのものでしょうか?
学生時代には笑顔でその人の評価は変わりませんが、接客業において笑顔が少ないことは致命的でもあります。知識が多いことは相手には伝わりにくいですが、笑顔の優劣は簡単に伝わります。
接客業とは、何も考えないで、無意識な自分がしたいことを行うのではなく、自分がしてほしいことを相手に施すことです。そういうことを日々考えて仕事をしている人の中に、自分のことを中心に考えている人が社会人デビューをするのですから、お客様からは厳しいお叱りの言葉を受けることも少なくないでしょう。
社会人になって一番しんどいのは、これまで当たり前に行っていた言動では、お客様を満足させることはできないばかりが、逆に手抜きと捉えられてしまう可能性が高いことです。
4、日記をつける
日記を書くということは、その日1日を振り返って反省しながら次の日に備えるということだ。スポーツで結果を出している人は、まずほとんどの人が日記をつけています。
自分にとっての課題は何か、うまくいったこととうまくいかなかったことを反省していくことで、やるべきことが明確になってくるのだ。
人は目的意識の有無で、見えるモノが違ってくる。「車を買おう!」と思ったら、急に車が目に入ってくるようになるのだ。
自分に足りないものや、自分がどうなりたいかなど、1日1日真剣に自分と向き合っている人は、時間とともに成長していくが、目的意識を持たないで仕事をしても、ただ時間だけが過ぎていくだけだ。
初めについた印象というものは、なかなか覆すのが大変だ。先輩方から「この人はできる!!」と思ってもらうためには、1日1日振り返る習慣をつけてから入社できれば周りからの期待も大きくなってくるでしょう。
5、笑顔、あいさつ、元気よく
社会人1年目では、仕事ができなくて当たり前のところがあります。スキル的には、何年も経験を積んでいる人から見れば、合格点をもらえることはまずないでしょう。
スキルは時間をかけて経験を積めば身につきますが、すぐに思うような結果がでない時に、暗くなられると教える方の気持ちが滅入ってきます。
患者様に対しても、明るさだけは経験に関係なくアピールすることができます。最高の笑顔と大きな声であいさつして元気さをアピールすることで、スキルのなさを補うのです。
スキルが身について来れば、自然と自信もついてきます。スキルのない時こそ、空元気でも明るく振る舞う必要があるのです。
研修医時代も学ぶことが多く、ついつい自信を無くしがちですが、そういう時だからこそ、やせ我慢でも最高の笑顔で大きな声を出すことを意識して周りの人に好印象を与えることを意識するべきです。
学校の勉強は一人で黙々とできますが、仕事というのは周りから評価してもらって「なんぼ」の世界なので、大変な時こそ明るく振る舞えるようにすれば、評価が高まるでしょう。
心が体を動かします。
「ダメだ!」と思えば行動もマイナスになりますし、「必ずできる!!」と思えば、出来ることを1つずつこなしていけます。
心技体と言いますが、心の在り方をプラスに向けていくことは、立派な社会人になる時には不可欠な要素なのです。
☆仕事について真剣に考えている方のための動画
☆まとめ
頑張って国家試験に合格し、夢を持って歯科医師人生を歩み始められましたが、研修医は仮免許のような感じで、大きな責任のある仕事を任せられることも少ないと思いますが、実際に就職してからは、患者さまからしても1人の歯科医師としてみなされます。
歯科医師免許証は同じでも、技術や対応力は、周りの歯科医師とは雲泥の差があります。
イメージと実力とのギャップを感じて、日々ストレスがためる1年間になると思います。
誰もが通る道ではありますが、研修医の時から社会人としての考え方を習慣化することで、この大変な1年間の準備期間になると思います。
「成功の神様には前髪しかない」、と言われています。
物事が起きる前に準備をしている人にしか成功の女神は微笑みません。
研修医という準備期間に、きちんとした準備をしている人にだけ、社会人としてスタートした時の成功が約束されているのかもしれません。
研修医の大切な1年を充実したものにして、素敵な歯科医師人生を歩んでください。
南青山デンタルクリニック、銀座青山You矯正歯科 総院長青山健一の紹介。プロフィールや主な著書、マスコミ履歴など 続きを見る
監修者紹介