開業までの経営学

新患の増やし方

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はじめに

勤務医時代はいい治療をすることに注意を払えばよかったのですが、いったん開業してしまうと、まずは「新患患者を増やすこと」に頭を悩ませます。
患者さんが来なければどんないい治療をしたとしても、経営は成り立ちません。

治療をすること」が最大の仕事だった勤務医時代から、「患者さんに来てもらうこと」が最大の仕事に変わる院長時代の幕開けです。
新患を増やす」ということについて、一緒に勉強していきましょう。

1、患者を増やすということ

患者数を増やすとはどういうことか?

歯科医院経営を継続していくうえで一番の問題は、患者数を増やし、売上げを上げることでしょう。
では患者数を増やすとういうのは、一体どういうことなのでしょうか?
その内訳は、新患患者を増やす口コミ、紹介患者を増やすリコールにて再初診患者を増やす、の3つに大別できるでしょう。

口コミ、紹介患者を増やすのと、再初診のリピーターを増やすのは、ドクターやスタッフの腕の見せ所で、きちんとした治療や対応によって、そのクリニックのファンを増やしていくことで、この患者層を増やすことができるのです。
この段階では、多くのクリニックで、独自のアイデアを使って、いろいろ工夫されていることでしょう。

歯科医院の低迷は、新患患者の減少が原因

実は、過去には、新患患者は殆ど何もしなくても来院されていたのです。
しかし最近では、新患患者が増えないか、減少しているから、口コミ、紹介患者や、リピーターの低下にもつながっているのです。

歯科医院の低迷の原因は、この新患患者の減少が全てなのです。
日本の人口が減少し、歯医者が増えているのだから、仕方ないと諦めていたのでは、何も変わっていかないのです。

これまで医療というのは、いい治療をして患者さんに評価されて、口コミが増えれば、必ず流行ると学んできました。
しかし、この常識が通用しなくなってきているのです。

新患患者を増やす努力をしていかないと状況は変わらない

それはひとえに、新患患者を思うように獲得できていないことによりますので、口コミ患者や、リピーターを増やす努力とは別に、新患患者を増やす努力をしていかないといつまでも状況は変わっていかないのです。

口コミ患者やリピーター患者を増やすことは、周りの歯医者や歯科医師会から文句を言われることはなかったのですが、新患患者を増やすには、どうしても周りの歯医者と競合になり、目立ったことをすれば周りからもたたかれる可能性がありますので、最終的には波風を恐れない行動のできる人間が、一歩抜け出せるのです。

新患の増やし方

2、患者数が増えなければ口コミも増えない

開業して3~4年一向に患者数が増えるということはなかった

私自身、開業して3~4年、自分なりに一生懸命頑張ってきましたが、一向に患者数が急増するということはありませんでした。
当時の状況で、口コミや紹介を増やすことだけで、クリニックを軌道に乗せるということに限界を感じていましたので、頭を切り替えて、どうやって新患患者を増やすかということを考えることにしました。

もちろん通院されている患者さんには、今まで通り一生懸命治療しましたが、とにかく全く関係のない人に、どうやって患者さんになってもらうかということだけを24時間考えるようになりました。

幸い、東京の中心地では、歯科医院間の競争が激化しているので、広告規制があるにも関わらず、多くの歯科医院が広告を打っていましたので、当医院も同じような広告を打つことになり、少しずつ独自の特徴のある広告になるように、工夫を重ねていくようになっていきました。

広告によって新患患者が増え、紹介、口コミも増えていきました

それまでは、来院された患者さんが、口コミや紹介によることが唯一の増患手段だったのが、広告によって新たに集客する方法を模索するようになっていきました。
広告を打ち始めてしばらくの間は、かけた広告費より、集客できる患者さんの方が少なくて、広告すればする程赤字が増えるという状態でしたが、いろいろと工夫を重ねていくうちに、広告費以上に集客できるようになっていきました。

そうやって新患患者の数が増えるに従って、紹介患者、口コミによる患者さんも自然に増えるようになってきました
多くの経験を積んだ今なら簡単に分かることですが、新患の患者数が少ない、競争の激しいエリアで開業している先生は、院内での治療レベルや提供するサービスレベルを上げたりすることと平行して、新患患者を増やしていく努力をしていかなければならないのです。

勿論、いくら患者さんを集めても、治療やサービスがお粗末であれば、患者さんは「ざる」を通り抜けるように逃げてしまいますが、きちんとした治療とサービスをしているのであれば、とにかく新患患者を増やす努力をして、患者数を増やしていくことが、強いては口コミや紹介患者を増やしていくことにも繋がってくるのです。

3、口コミで増客する限界

今までの歯科医院のマーケティングは、これからも通用のするのか?

歯科医院というものは、広告規制がありますので、来院された患者さんに、いい治療をすることによって、その患者さんが喜んで満足されたら、知り合いの患者さんを紹介してくれて、口コミで流行っていくのが唯一の方法で、そのためには治療レベルを上げて、スタッフのサービスを向上させて、通院されている患者さんに、より高いレベルでの満足を得てもらうことで、歯科医院は流行っていくと考えられてきました。

この理論は、今までのマーケティングとしては、大正解でありますが、これからの時代には片手落ちの理論になってしまうのです。
このセオリーが当てはまっていた時代の大前提は、新患患者が何もしなくても十分に集まっていたということなのです。

新患患者が少ないと、紹介や口コミにも限界がある

新患患者を集める努力が必要なかったために、後はリピーターを増やすことだけを考えればよかったのです。
リピーターを増やすためには、上記のことをやっていくことは、とても有効になってきます。
しかし新患患者が少ない状況では、紹介患者を増やしたり、口コミで増やすにも限界があるのです。

どんなにいい治療や、素晴らしい治療をしていても、1日の来院患者が2~5人の場合に、それがねずみ講のように増えていくことは絶対にあり得ないのです。
例えありえるとしても、それはかなりの年数を必要として、その前にクリニックが倒産してしまう可能性のほうが高いのです。

口コミや紹介というものは、クリニック側が予測できることではないので、満足してくれた患者さんが、必ず次の患者さんを紹介してくれるわけではないのです。
こちらが忘れていた頃に、紹介される場合もよくあるものなのです。

口コミを紹介に繋げるためには、何かが足りないのでは?

私自身、上記の口コミで患者さんが増えるということをひたすら信じて、開業以来一生懸命治療してきました。
しかし東京の港区南青山という場所では、看板を見て来院される初診の患者さんは、数日で1人という状況で、おまけに若い年齢層の人が殆どですし、治療自体も2~3回で終了してしまう場合が殆どなのです。

その少ない患者さんから、紹介や口コミに繋げなければと思い、一生懸命、誠心誠意治療しても、一向に患者さんが急増する様子はありませんでした。
20歳代当時の私の治療レベルやマーケティングレベルが、今に比べてかなり低かったということを考慮したとしても、口コミを紹介に繋げるためには、何かが足りないのではという疑問は、当時から常に持っていました

口コミ

4、広告を打つ際に注意する点

「とにかく1度来てもらう」のは難しい

クリニックや院長の良さというものは、とにかく来院してもらわなければ知ってもらうことはできません。
「とにかく1度来てもらう」ということが大切になってくるのです。

クリニックの中がどんなに豪華であろうと、院長がとてもよく勉強されていて、どんなに腕が良いとしても、またスタッフが美人揃いで、スタッフ教育が完璧に行き届いていたとしても、とにかく1度来院してもらわなければ、そのクリニックの良さは理解できないのです。
この「1度来院してもらう」ということが、なかなか難しいのです。

HP や広告を打つ前に考えておくべきこととは?

この1度来院してもらうための方法には大別して2通りあります。
1つめは、よく知られている、医院への敷居を低くして入りやすくするということです。
これは優しい先生やスタッフであることを外にアピールしたり、庶民感覚の歯科医院であることを印象づける工夫をすることが大切なのです。

もう1つの方法は、私はどうしてもここに行ってみたいという衝動を起こさせることです。
どちらも HP や広告を使っての誘導になりますが、自分は敷居を低くしたいのか、患者さんに衝動買いをさせるような勢いをつけさせたいのかを考えてから、HP や広告を打つべきです。
最もよくないのが、どこの歯科医院でも使っているイメージ広告を出してしまうことです。

広告を打つ際に注意する点

5、今の時代、新患患者を集めるにはお金がかかる

高い広告を打っても反応がイマイチなのが現状

今までの歯科医院経営においては、新患患者はそれなりに来ていたので、来院される患者さんをきちんと治療していれば、紹介によってクリニックは回っていき、経営は成り立っていました。
実は、このやり方が一番効率がいいのです。

矯正専門医などは、一般の G.P が矯正患者を紹介してくれるという、「棚からぼた餅」と言ってもいいようなことが、日々繰り返されていたので、古き良き時代には笑いが止まらなかったと聞きます。(笑)

東京の中心地では、殆どの G.P も矯正治療を行っているために、矯正専門医も、GPから簡単に矯正患者を紹介してもらえるということを期待するだけでは、経営的に苦しくなるので、自分で広告を打って、新患患者の獲得に力を入れています。
それまでは無料で矯正患者を紹介してもらっていたのに、今では高い広告費を打っても、反応がイマイチなのが現状なのです

これからの歯科医院経営において、広告費は大きな出費になってくる

今までは、G.P も矯正専門医も、初診患者を集める苦労をしなくても、治療やサービスだけを満足させておくことに集中できたのに、これからは、高いお金を払って、少ない新患患者を集めるのに四苦八苦する時代になるのです。

今まで歯科医院は、どんぶり勘定でやっていても、利益率が良くて、経営が成り立っていましたが、そのからくりは、実はこの新患患者を集めるために、莫大な経費を使う必要がなかったからなのです。

しかし、これから歯科医院経営において、必ず広告費は人件費に次ぐ、大きな出費になってきます
そして経営的センスの違いで、その広告費が何倍にもなって戻ってくる人と、ただの無駄金になってしまう人とに分かれてしまうのです。

田舎で開業されている先生方にとっては、まだこの話がピンと来ないと思いますし、あったとしても、かなり遠い将来だと思われていることでしょうが、東京では今現在、そういう状況になっているわけですから、3~5年のうちには、日本中の殆どのエリアにおいて、同じ状況になってくるのは間違いない事実なのです。
これは大地震が起こる確率よりも、高い確率で起こってくることなのです。(笑)

6、地方においての1人勝ち

クリニックの規模が大きくなってきますと、収入も上がりますが、出ていく経費も多くなってくるので、院長は経営者として、より売り上げを上げていかなくてはならなくなってきます。
その時に集客方法を、多方面から考えていかなければならなくなってくるのです。

例えば、個人で細々とやっていく時には、ホームページなどは必要なくても、経費が多く、高い売上げが必要ならば、ホームページもなくてはなりません。
ホームページを作ったら、今度はどうやってホームページを見てもらうかを考えなくてはならなくなります。

こういった風に、貪欲に次の集客方法を求めて、勉強していくことは、都心で開業していますと当たり前のことなのですが、地方においては、まだまだ別世界のことのように感じている歯科医師が多いのではないでしょうか。

逆に言えば、地方においては、いち早く次の集客方法を取り入れれば、より簡単に「一人勝ち」できるクリニックができるのではないでしょうか。
地方には地方なりの、周りの歯医者とのしがらみがあって、あまり目立ったことはできないという難しい点もあるとは思いますが、戦いにおいては「先んじれば人を制す」という原理原則がある以上、誰かに先んじられる前に、いち早くやった者が得をするでしょう。

都会

地方

7、記事風広告

集患につながる記事風広告とは?

医療においては、広告を出してはいけない規制があります。
しかし、その中で許されている方法の1つに、雑誌社の方が取材しているという形であれば、広告は打つことができるのです。

実際には、多くの場合に自分で記事を書くことになるのですが、この記事の内容に患者さんが何かを感じてくれれば、来院してみようという気持ちが生じるのです。

この記事の内容は、ある程度は客観的なものでないといけませんが、誰が書いても大差がないような内容の場合、読んでいる人に与えるインパクトが少ないので、自分のクリニックの患者になることを期待しにくくなってきます。

しかし、何かこの先生は他の医院と違うなということが記されていれば、読者の方もこのクリニックに1度行ってみようかなということに繋がるのです。

記事風広告はコストパフォーマンスの高い広告にできる

こういう記事風の広告の場合は、自分しか書けないような特殊性を持てたり、他の医院が真似できないようなことを、何でもいいので持っているのであれば、費用対効果は、かけた広告費の何倍もの大きな売上げを見込めることになります。
これも実力主義の世界で、読者を惹き付ける文章が書ける人間にとっては、この記事風広告はコストパフォーマンスの高い広告になります

私個人としては、本を出版してからは、本を前面に出して、他のクリニックと差別化することによって、集客力を上げています。
自分の書籍を持つということは、それだけ大きな武器を持つことになってくるのです。

8、マスコミへの売り込み方

マスコミへの売り込みには「プレスリリース」

一般の会社においては、「プレスリリース」という言葉が当たり前のように使われます。
会社のニュースがあれば、それをマスコミに売り込んで、ただでメディアに取り上げてもらって、報道してもらうということです。

一般の歯医者にとっては、あまり縁のないことでしょうが、時々、TV や新聞、雑誌などのメディアで、取り上げられている歯科の内容の多くは、本人からのプレスリリースによって取材されているのです。

一般の人の考え方では、マスコミが何かテーマを見つけて、その道の権威の人が、その対応をすると考えがちですが、マスコミからしますと、歯科の世界では、その治療は誰が権威なのかを知ることは難しいのです。
その為、自分からの売り込みや、HP などから取材をしてもいいと思われる歯科医院を選んでいる状態なのです。

1つ1つの蓄積が、後になって大きなツールに

ですから、取材される先生や医院が、その道の権威でなくても、全然問題がないのです。
それで自分が答えられる内容で、一般の方が興味を持つと思われる内容をお持ちの場合には、それを「プレスリリース」という形で、マスコミに売り込んでみればいいのです。

採用される確率はそんなに高くはないですが、一度採用されれば、それはしばらくの間、そのクリニックにとっての宣伝広告の大きな武器になりますから、Fax 代以外には費用はかかるわけではないので、これは一般大衆が興味を持つ話題だと思えば、早く送ったもの勝ちなのです。

私自身、マスコミに掲載されたものには小さなものから、大きなものまで、いろいろありましたが、1つ1つの蓄積が、後になって広告として大きなツールになってきました

☆まとめ

いかがでしたでしょうか?
歯科医院経営も治療だけをしていればいい時代は終わりを告げようとしています。
そして患者さんは自然に来てくれるのではなく、意図的に来てもらう工夫をしなければ簡単には来てもらえない時代なのです、

どうすれば患者さんに選んでもらえるか?」を工夫していかなければ、新患は簡単には増えにくいということを自覚しながら、色々と工夫してみて下さい。

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